週末になると、競馬関係の情報がネット上に出てきますよね。
読み物としては面白いので、ぼくも時間つぶしに読んでいます。
その中で、よくあるのがこんな記事です。
「過去10年のデータでは、大外枠の馬は連に絡んでいない!」
「ステップレース○○の馬の勝率は○○%」
データを元にして、傾向と分析ということを紹介しているわけですが、個人的にはあまり意味がないと思っています。
ここでは、過去のレース結果からの傾向と分析についての信頼性についての考えを書いてみます。
目次
過去のデータそのものは、とても大切
個人的にはデータからの傾向と対策はそれほど意味がないと書きましたが、過去のデータ自体は大切です。
競馬の勝ち方としては、実力のある馬が評価されていないケース、要はオッズが実力よりも高いケースを狙うことが必要ですが、それを見極めるために、過去の結果は土台になります。
どんなケースだとオッズ的に「おいしいか」を知るためにはデータは大切です。
データに見る勝ち馬の傾向の意味のなさ
データは見方によって色々なことを知らせてくれますが、競馬に関しては勝った負けたの理由については、データから分かることに意味はありません。
例えば、過去10年の、ある重賞レースの勝ち馬を調べると、同じ距離、同コースで勝った実績が多数の馬にあったとします。
そうすると、以降の同レースでは、それを取り上げて、このように紹介します。
「このレースでは、同コース、同距離で勝った実績があることが重要」
これは、これから競馬を予想するために必要な情報でしょうか?
はっきり言って完全に後付けの理由でしかありません。
たまたま勝った馬の戦歴が、都合の良いように切り取られているだけで、勝ち負けの予想として正しいとはいえないのです。
また、こんな事もあるでしょう。
「この重賞では過去10年に牝馬の3着内率が6割を超えている」
こういった記事を読んで、牝馬を馬券の軸に据えてワクワクしながら競馬をする人は、まず競馬で勝てないでしょう。
過去10年というと長い期間ですが、レース数ではたった10回です。
10レースの傾向なんて、全くあてになりません。
牝馬が馬券に絡むのが6割といいますが、偶然偏った可能性の方が高いでしょう。
もしかしたら、他のレースに比べて牝馬の出走数が多かっただけということもありえます。
いずれにしても、馬の勝ち負けをわずかなデータで判断することはできません。
過去の実績はこれからのレースに影響しない
過去のデータを並べると、なんとなくそれっぽく聞こえるのも事実です。
ぼくも、競馬にはまっていた若い頃に、過去のデータを元にした雑誌を買ってきて、
「これで勝てる!」
と本気で思っていました。(バカ)
でも、よく考えたら、
「過去の実績が○○だった」
という事実は、
「次のレースで○○になる」
という理由にはなりません。
これまでのレースの傾向は結果であって、今年のレースに影響する性質は持ちません。
仮に、
「去年走ったこのレースで、位置取りを失敗したから、今年はもう少し積極的行こう」とか、
「このレースは毎年追い込んでも勝てるデータがあるから、今回は最後の直線に賭けよう」
と、馬が過去レースの傾向と分析をしているなら話は別です。
残念ながら馬はそんなことは知りませんし、考えて走っているわけでもないので、過去の傾向なんてものは、勝ち負けの判断材料にはならないのです。
勝ち負けの結果には影響しないけれどオッズには影響する
過去のデータで重要になるのは、勝ち負けの要因としての傾向ではなく、あくまでオッズ、さらに言えば回収率についてです。
どんな馬を買えば、幾ら損や得をするかを知るべきで、むしろそれ以外は必要ありません。
先ほどの過去10年のレースの傾向などが良い例になりますが、むしろこういった情報は馬券購入者に伝わると馬券的にはありがたい結果になります。
こういう情報を元に条件に当てはまる馬券が多く買われるほど、相対的に当てはまらない馬のオッズが上がります。
このブログでは、何度も記事にしていますが、競馬では勝ち馬を当てることはできず、勝手に当たるのです。
オッズ的においしい方に賭け続けることで最終的には回収率の向上が見込めます。
なので、過去のレース傾向から、あることが分かり、これが広く馬券購入者に知れ渡るなら、逆にそうでない馬の価値が上がることになり、こういった馬を買えば良いということです。
回収率の良いケースでも鵜呑みにしない
では、オッズに着目して、傾向が見られれば、その馬は迷わず「買い」でしょうか。
ぼくは違うと思っています。
これは過去データの勝ち負けの傾向でも同じですが、大切なプロセスは、「理由付け」です。
例えば、過去10年の傾向を調べて、こんなことが分かったらあなたはどうしますか?
「葦毛の馬の回収率が極めて高い」
これは買えないでしょう。
レースに勝つかどうかは、一般的には毛色とは関係ありません。
もしかしたら、ぼくらの知らない理由があって、勝ちやすくなっているのかもしれませんが普通に考えたら、ただの偶然でしょう。
では、
「追い込みの馬の回収率が良い」
これは、買える可能性がありますよね。
ただ、先ほどの葦毛の時と何が違うのでしょう。
結果的には、同じ様に回収率が高い傾向が出ています。
ここで重要なのが、
「理由付け」
です。
葦毛の場合は、競馬の能力と毛色は関係がないという判断で無視されますが、
「追い込みの馬」
はどうでしょう。
それっぽく聞こえますが、ただの偶然の可能性だってあります。
仮に、そのレースのコースは直線が短く、追い込みの馬にとっては一般的に不利だといわれているとします。
それなのに、追い込みの馬の回収率が良いとなると、こういったストーリーが成立しそうです。
①この競馬場のコースは直線が短い
②したがって、追い込みの馬は不利
③このことを馬券購入者の多くが知っている
④なので、追い込みの馬は馬券対象から過剰に外れやすい
⑤結果的に追い込みの馬のオッズがおいしい
こういった具合に、その傾向には、回収率の高い理由が成り立つ論理があるでしょうか。
もちろん、それが真実であるかどうかを確かめることはできません。
でも、馬券的な傾向に対して、きちんと「理由付け」ができるかは、とても重要です。
まとめ
競馬では、馬券購入の判断が色んな要素で成り立っていますし、それが傾向なのか、単なるばらつきなのかも、なかなか分かりません。
そこが競馬の難しさでもあるのですが、やはりコンスタントに勝とうとすると、曖昧な部分の攻略が避けられません。
馬券を買うときには、色んな情報が入ってきますが、まずはデータに見る傾向をそのまま受け入れるのではなく、まずは疑い、「なぜ」の説明ができるかを考えてみましょう。